機能性ディスペプシアと鍼灸
「なんとなく胃が重い」が続くあなたへ
「食べるとすぐお腹がいっぱいになる」
「胃が張って気持ち悪い。でも病院では“異常なし”」
そんな声を、日々の臨床でよく聞きます。
この状態、いわゆる「機能性ディスペプシア(FD)」と呼ばれるものかもしれません。
FDは、検査でこれといった異常が出ないのに、胃の不調が慢性的に続くというタイプの不調です。
薬も出るけど、なかなかスッキリしない。
そんなときに「鍼灸ってどうなんだろう?」と思う人もここ最近では増えてきました。
今回は、鍼灸がどう胃の動きに関わるのか。
どんな人に合いやすいのか。
FDに特化して臨床・学会発表・書籍まで出してきた立場から、できるだけ分かりやすくお話します。
胃の調子は「自律神経」のバランスで決まる
まず、胃の働きって、自律神経という神経のバランスにかなり左右されます。
簡単に言えば、リラックスしているとき(副交感神経が優位)は、胃がちゃんと動いて消化もしっかり進みます。
逆に、ストレスがかかっていたり、緊張が続いていたりすると(交感神経が優位)、胃の動きが鈍くなります。
FDの人って、この「交感神経が優位になり、胃がうまく働かない」状態が続いてることが多いんです。
鍼灸で神経のバランスを整える
鍼灸が得意なのは、“自律神経のバランスを調整する”こと。
ツボを使うことで、副交感神経(リラックスの神経)がしっかり働きやすい状態をつくっていきます。
よく施術中に「お腹がグーッと鳴ってきた」という声を聞きますが、これは副交感神経が働いて、消化が動き出しているサインでもあります。
ちなみに今日も新患さんのお腹が鳴っていました。
もちろん、「このツボ一本でFDが治る」なんて単純な話ではありません。
でも、鍼灸はその人の筋肉の硬さなどに合わせて手当てできるので、一人ひとりに合わせた施術ができるのが強みなんです。
鍼灸で良くなる人って、どんなタイプ?
実際に臨床で見ていて、鍼灸が合いやすい人には共通点があります。
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胃の不調がストレスとセットで出やすい人
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検査は問題ないのに、ずっとモヤモヤしている人
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寝つきが悪い・朝すっきりしないなど、自律神経の不調も感じている人
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薬を飲んでも劇的な変化がなかった人
こういう方に、鍼灸のアプローチが“身体の底”から働きかけてくれることがあります。
まとめ
FDって、はたから見ると「元気そう」なのに、本人はずっとつらいんですよね。
しかも「原因が分からない」って言われるから、不安も積もりやすい。
鍼灸はそんな“目に見えない不調”に、静かにでも確実に寄り添える選択肢だと思っています。
「身体を整えることで、心も落ち着いて、胃の調子も変わってくる」——
FDと鍼灸は非常に相性が良くこれからのFD治療の可能性を広げてくれるものであると私は本気で思ってます。
原因不明の胃痛でお悩みの方はぜひご相談ください!
もっと深くFDを知りたい方へ、こちらの私の書籍をおすすめします。
臨床現場での経験と、自律神経・消化機能に関する知見をもとに書き下ろした一冊です。
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FDで悩む方が、「そうだったのか」と少しでも前向きになれるように、との思いで綴りました。
ご予約・ご相談お待ちしております。


